中村 拓海のファームを立ち上げたのは2019年の秋、前職の大手SIerで5年間データウェアハウスの設計を担当した後のことです。当時、彼が最も気になっていたのは、数千万円をかけて構築したシステムが、納品から半年後にはほとんど誰にも使われていないという現実でした。理由は単純で、設計者が現場の業務フローを理解しないまま、理想的なアーキテクチャを押しつけていたからです。「使われないデータ基盤は、ないのと同じだ」という確信が、独立の直接的な動機になりました。
最初のクライアントは、東京・蔵前の雑貨メーカーでした。従業員12名、在庫管理はExcel、売上集計は毎月末に経理担当者が手作業で行っていました。中村 拓海2週間、倉庫と事務所に通い詰めて業務を観察しました。提案書を書いたのはその後です。最終的に導入したのは、Googleスプレッドシートと連携したシンプルなBigQueryパイプラインと、LookerStudioのダッシュボード3枚だけ。費用は当時の相場の3分の1以下でしたが、在庫の欠品率は翌四半期に18%改善しました。その事例が口コミで広がり、2020年には製造業と小売業を中心に6社との契約が続きました。
データの流れを、事業の力に変える